【協賛レポート】AI DevEX Conference2026 当日の様子をご紹介!

こんにちは。ログラスProductHRの永井です。
この記事は2026年7月22-23日に開催された「AI DevEX Conference2026」の協賛レポートです。

ログラスは今回、Goldスポンサーとして協賛し、セッション登壇およびブース出展を実施しました。

CTO伊藤 登壇:『動くだけ』のその先へ — AI駆動開発で品質と速度を両取りする温故知新な新手法

「動くだけ」のその先へー
AIでHowの大部分を担えるようになった今、人間が価値のある仕様を、打席と打率の掛け算でつくる重要性についてお話ししました。

セッション後のアンケートでは、嬉しい感想を多くいただきました。

  • 仮説検証をエンジニアリングする重要性を学びました
  • 自分自身が感じていたAI活用の上手くいっていない部分と、それに対応する具体的な方法が高いレベルで言語化されていて素晴らしいと感じました
  • 登壇者の個人的経験からそれをどう理解して実践に移していったのかがよく分かり非常に参考になった
  • 実践に基づく納得性の極めて高い講演で良かったです
  • 体験を原点にした戦略的なシナリオで魅了されました

SNSでも多くの方からのリアクションありがとうございます。

登壇資料はこちらです。ぜひご覧ください。

「AI駆動開発のボトルネック」に関するアンケートを実施

今回ブース企画として「AI駆動開発のボトルネックはなんですか?」というお題で参加者の皆さんにアンケートを実施しました。

単に「何を作るか」「どう作るか」よりも、「価値定義」や「人・組織」そのものがボトルネックになっているという点に課題感がシフトしている様子がうかがえました。
コーディング等の実装面よりも、前提となる価値の定義付けやチーム・人の課題、品質担保でつまずく声が多数派だったのが印象的でした。

アンケートに参加してくださった皆さん、ありがとうございました!

ログラスのProduct Team Valueをモチーフにしたノベルティ

ノベルティはログラスのProduct Team Valueである「Update Normal」を印字したバスソルト・クリーナー・キーホルダーをご用意しました。

手に入れた方はぜひ活用いただけると嬉しいです!

まとめ

ログラスのセッションや、ブースにたくさんの方にお越しいただき、皆さんの熱量の高さを感じた2日間でした!

今後も開発生産性にまつわる学びや取り組みの発信を通して、コミュニティへの還元をしていきたいと思います。

カンファレンスに関わっていただいた皆さん、素晴らしいイベントをありがとうございました!

関連イベントの紹介 

9月7日(月)夜にAI DevEX Conference 2026でご登壇された和田 卓人氏と広木 大地氏をお招きしたパネルディスカッションイベントを開催します!

- AI時代だからこそ、顧客への本質的な価値定義にどう向き合うか
- AIが生成するコードの品質を、人間はどう制御するか
- AIとの共創時代に求められるエンジニアのスキルセットとキャリア論
などを深掘って議論する予定です。

オンラインとオフラインのハイブリッド開催です。現地参加の方には懇親会もご用意していますので、ぜひAI時代のソフトウェアエンジニアリングについて熱く語りましょう!
▶︎お申し込みはこちら

 

AI DevEX Conference2026に協賛 & CTO伊藤が登壇します

ログラスは、2026年7月22-23日に開催される「AI DevEX Conference 2026」にGoldスポンサーとして協賛しています。
Day2ではログラスCTO伊藤が登壇するほか、2日間ブース出展もします。
弊社メンバーでお待ちしていますので、ぜひお気軽にお越しください!

登壇セッションの紹介

『動くだけ』のその先へ — AI駆動開発で品質と速度を両取りする温故知新な新手法

登壇者:CTO 伊藤 博志
日時:7月23日(木)16:50〜17:30
会場:Room C


Vibe Codingで「動くもの」は誰でも作れる時代になった。
しかし、エンタープライズ顧客に届けるto Bプロダクトを高い品質で開発・運用し続けるための要求水準にどう達するか、は大きな課題として残されています。

本セッションでは、仕様の曖昧性・無矛盾性検証・テスト設計・実装・検証といったプロセスをAIのハーネスとして統合することで一気通貫で実現し、仕様から監査可能な品質水準をこれまでにないスピードで実現した手法を実例を交えて紹介します。

ブース出展の紹介

当日はエンジニアメンバーがブースでお待ちしています。
ログラスのProduct Team Valueである「Update Normal」をテーマにした各種ノベルティもご用意していますので、ぜひ遊びに来てください!

関連イベントの紹介

9月7日(月)夜にAI DevEX Conference 2026でご登壇される和田 卓人氏と広木 大地氏をお招きしたパネルディスカッションイベントを開催します!

- AI時代だからこそ、顧客への本質的な価値定義にどう向き合うか
- AIが生成するコードの品質を、人間はどう制御するか
- AIとの共創時代に求められるエンジニアのスキルセットとキャリア論
などを深掘って議論する予定です。

現地参加の方には懇親会もご用意していますので、ぜひAI時代のソフトウェアエンジニアリングについて熱く語りましょう!

関連資料の紹介

「AI駆動経営 勉強会 #2」 において CTO 伊藤が登壇した資料です。

週末3日で自作したOLAP DBがDuckDB/Polarsを圧倒。AIを起点にCTOがICへロールシフトした経営意思決定の全貌を公開しています。

本資料の詳細をAI DevEX Conference 2026のセッションでお話しする予定なので、あわせてご覧ください!

募集ポジションの紹介

AI DevEX Conference 2026を共に盛り上げていきましょう!
当日を楽しみにしております!

【スクラムフェス金沢2026 2日目】形骸化したスクラムを乗り越え、真のチームになるには?

こんにちは、株式会社ログラスの笹川尋翔です。

熱気あふれる1日目に続き、「スクラムフェス金沢2026」の2日目の模様をお届けします!

なお、本イベントは複数の部屋に分かれて同時にセッションが開催されるマルチトラック形式となっていました。魅力的なプログラムが裏で同時に進行しており、どれを聴くか非常に迷ったのですが、本レポートでは私が実際に足を運んで話を聴き、熱い刺激を受けたセッションに絞ってその学びをお届けします。

2日目のタイムラインも、地方でのリアルな開発現場の苦悩から、コミュニティの持続性に関する議論、組織論、心理学的なアプローチまで、非常にディープでバラエティ豊かな内容でした。1日目で得た「心理的安全性」や「AI時代の上流工程の重要性」という視点をさらに深めつつ、現場にどう活かしていくか、生々しい知見をレポートします!

真のチームになることの難しさ

2日目のスタートは、株式会社デジタルバリュー様の奥村さんと、株式会社永和システムマネジメント様の藤田さんによるセッション「チームは最初からチームじゃない 〜石川県の地方銀行ネットバンキング開発で育ったチームの話〜」です。

北國銀行様の子会社として、BtoBやBtoCのインターネットバンキング開発を担うチームの、長期間にわたるチームビルディングの歴史が語られました。

困惑から始まったアジャイルへの挑戦

5年前、プロジェクトにジョインした当時のチームは、以下のような課題を抱えていたと言います。

  • 「お客様が求めているアジャイル」の姿が分からず困惑
  • スプリントゴールが設定されていない
  • 個人単位でタスクを管理しており、チームレベルでの議論ができない
  • 頻繁な組織編成の変更により、メンバーが意見を言いにくい雰囲気がある

こうした状況を打破するため、チームは10名ほどで集まり、「私たちが目指す姿」をバックキャスティング(未来の理想から逆算する手法)で明文化するディスカッションを行いました。さらに、チームでキャンプを実施するなど、業務外での密なコミュニケーションを通じて関係性を構築していったそうです。

セッションの内容を基に著者が作成

また、プロジェクト管理における「バッファ(余裕)」の扱い方についても言及があり、「バッファが多すぎると存在意義が形骸化してしまうため、不確実性についてはマネジメント層へ素直に報告し、共有した方が良い」というリアルなアドバイスが印象的でした。

「理想の明文化」がチームの視座を上げる

1日目のセッションでも「最初に理想のチーム像を描くこと」の大切さが語られていましたが、今回の地方銀行の事例でも全く同じアプローチが成功の鍵を握っていました。 メンバーが個人タスクに終始してしまうのは、チームとしての共通の目的地(ゴール)が見えていないからです。バックキャスティングで「目指す姿」を形にし、さらに不確実性を隠さずオープンに報告できる関係性を作ること。これこそが、単なる「個人の集まり」を「真のチーム」へと変貌させる一歩と言えます。 

技術コミュニティの会話の壁を乗り越えるには?

続いては、青木さんによるセッション「人見知りなHUBおじさんが会話のハードルを超え、今度は誰かの踏み台になろうとする話」です。

勢いをつけ、ハードルを下げる工夫

青木さんは過去の業務での経験から、会話に対する心理的障壁が非常に高かったと言います。そんな状態から、いかにしてコミュニティに飛び込み、周りと繋がっていったのか。その実践的なテクニックが共有されました。

  • まずは、少人数・アットホームなイベントから参加してみる
  • 「相手が自分のことを認知してくれている」状態を作る
  • 面白い自己紹介に全力を注ぎ、相手に長い間覚えてもらう
  • 誰でも参加しやすい地域コミュニティに顔を出し、カジュアルさをアピール

心理的なハードルを超えるためには、「飛び込む勢いをつけること」と「自己紹介の工夫などでハードル自体の高さを下げること」の掛け合わせが大事であるというお話は、多くの参加者の共感を呼んでいました。

自己開示が生み出す、現場の心理的安全性

小さなコミュニティに参加するという小さなきっかけを作り、面白い自己紹介などで「まず自分を認知してもらう」というアプローチは、チーム開発における心理的安全性づくりにもそのまま応用できそうです。一方で、近年では地方の技術コミュニティの活性化が課題であるという話も聞きます。これは、組織のコミュニティに対しても当てはまる話かもしれません。様々なコミュニティの「持続性」を担保しつつ、同時に自分のスキルも磨いていくというアプローチを取ることで、自分もチームも成長できる環境が作られるはずです。

「ちょっと苦手な人」と対話する方法

続いては、堀部さんによるセッション「ちょっと苦手だなっていう人と対話をするためのはじめの一歩」です。

組織で動く以上、どうしても「この人、ちょっと苦手だな」「話しにくいな」という相手に遭遇することは避けられません。そんな時の実践的なアプローチが紹介されました。

一つのアクションですべてを解決しようとしない

書籍に書かれているような理想的なコミュニケーション(丁寧な根回しなど)をそのまま実践しようとしても、現実は簡単ではありません。堀部さんは、以下のような現実的なステップで対話することを提案されていました。

  • 遠くから観察する: 相手がなぜそのような行動をとるのか、一歩引いて見てみる
  • 普段の立ち振る舞い: 挨拶など、日常の些細な行動から気を配る
  • 味方を見つける: 1人で抱え込まず、誰かに助けてもらう
  • 捨てる決断: 普遍的な「普通の定義」など存在しない。自分が関わらないこと、諦めて捨てることを決めるのも一つの正解

足し算と引き算の思考を使い分ける

チーム開発において、全員と完璧に分かり合おうとすると疲弊してしまいます。「一つのアクションで解決を目指さない」というアドバイスは、非常に救いになる視点です。「相手と仲良くなる」ことが目的ならば、挨拶などの小さな一歩を積み重ねつつ、どうしても噛み合わない場合は「自分が関わらない領域を明確にする」という引き算の意思決定も、チームを健全に保つための重要な戦略の1つです。

「興味駆動」と「目的」に応じたスクラムの形

午後は、学生プロジェクトでスクラムを実践した事例「いつ学生は全力で取り組んだのか 〜学生プロジェクトでスクラムを回して気付いた興味駆動のポイント〜」を聴講しました。

学内カフェの運営(卒業式や入学式、学園祭などの限られたタイミングでの営業)において、インターン経験を活かしてスクラムを導入したものの、最初は全く機能しなかったという失敗談から始まるセッションです。

失敗の原因は「目的」のミスマッチ

なぜ一般的なスクラムが機能しなかったのか。その本質的な原因は「プロジェクトの目的の定義」にありました。

 

一般的なスクラム

学生プロジェクト

最大の目的

プロダクト価値の最大化

学び・経験の最大化

原動力

ビジネス価値

興味・好奇心

課題

スコープの肥大化

モチベーション低下

重視すべきこと

ベロシティ

興味を中断させないこと

学生は「やることが多すぎるとモチベーションが続かない」という特性を持ちながらも、基本的には締め切りと興味・好奇心という2つの軸で動いていました。 それにもかかわらず、見積もりや可視化、振り返りといったスクラムのプロセスを形式的に当てはめてしまったそうです。その結果、改善サイクルがうまく回らず、見積もりが甘くなり締め切り駆動の開発になってしまったとのことでした。興味や好奇心のサイクルを中断させないスクラムの形を模索することの大切さが語られました。

フレームワークを「目的」に合わせて調整する

教科書通りのスクラムをそのまま現場に持ち込んでも上手くいかない典型例であり、非常に学びの多いセッションでした。 私たちのプロダクト開発でも、「このスプリントの真の目的は何か(新機能の検証なのか、技術的な学びなのか、あるいはデリバリーの速度なのか)」によって、スクラムのプロセスの重み付けを変える必要があります。フレームワークに従うことが目的ではないことを理解し、チームのモチベーションの源泉(興味や達成感)を阻害しない設計をすることが重要です。

人に依存しない組織を作るための仕組み

ここからのセッションは、参加者が主体となる「ワークショップ形式」で進行しました。その1つ目が、非常にユニークな組織論を展開するセッション「RALGO: 組織の暗黙知をアルゴリズムとして扱う」です。

あらゆる場面で適用できるアルゴリズムを作る

「これからの少子化や不確実性の高い時代に立ち向かうために組織として重要なのは、人(主体)の熱量と、それを支えるアルゴリズム(仕組み)である」という大胆な思想が語られました。組織の階層構造は解決の手段の一つに過ぎず、本質ではないという見方です。

このセッションでは、紙とペンを用いたグループワークが行われ、提示されたテーマに対してチームでディスカッションをしながら、組織のアルゴリズムを可視化していきました。

属人性を排除する「判断の仕組み化」

アジャイルでは「プロセスよりも個人との対話」が重視されますが、組織がスケールしていくフェーズにおいては、人が本質的な対話や意思決定に集中できるよう、共通の「判断をアルゴリズム化(仕組み化)する」というアプローチも重要です。「こういうケースはどうする?」と具体的に線を引いていくワークを通じ、「〇〇さんが良いと言ったから」という属人性に依存せず、誰もが迷わずに動ける土台を作ることで、人と組織が変化に強くなるのだと考えます。 

チームの「遠慮」を紐解く

2日目の最後を締めくくる2つ目のワークショップは、「遠慮のないチームをどう育てるか?」というセッションです。こちらは、システムコーチングを用い、参加者全員で実際に身体を動かしながら議論を深めるという活発なスタイルで行われました。

遠慮と関係性の四毒素

チームの中で生まれる「遠慮」がプロダクトや組織に与えるネガティブな影響を理解するため、ただ頭で考えるだけでなく、メンバーとの距離感を変えるなどの身体的なアプローチも活用してそれぞれの関係性の雰囲気を体感していきました。その中で、システムコーチングの基盤となる「関係性の四毒素」が解説されました。

  1. 非難(例: 相手を責める)
  2. 防御(例: 自分の行動を正当化する)
  3. 侮辱(例: 相手を見下す)
  4. 無視、逃避(例: 対話を拒む)

これらの毒素がチーム内に放置されると、メンバーは心理的ダメージを避けるために自己防衛に走り、結果として「本音を言わない遠慮」が生じてしまいます。

セッションの内容を基に著者が作成

ワークショップでは、部屋の中で実際に「遠慮」が生じている状態の距離感を再現し、それぞれの関係性の雰囲気を体感していきました。そこで語られた「毒素は完全にはなくならないが、まずはチーム全員が毒素の存在に気づき、その影響を軽減する方法を知っておくことがチームを育てる上で不可欠である」というメッセージが印象に残りました。

遠慮を可視化する

「遠慮」と聞くと一見美徳のように思えますが、スクラムにおいては「必要な対話からの逃避」になり得ます。 チームの関係性を守ろうとするあまり本音を言えない状態は、長期的にはプロダクトの妥協に繋がります。これを防ぐために、スクラムマスターやリーダーは「透明性」を意識し、メンバーが安心して問題提起できるような雰囲気を作っていく必要があると思います。

まとめ: アジャイルとしてのスクラムとは

スクラムフェス金沢2026を通じて、私はある一つの根本的な問いを考えていました。それは、「結局のところ、アジャイルとしてのスクラムとは何なのか?」ということです。

スクラムは、単なる進捗管理のツールでも、開発を効率化するための固定されたプロセスでもありません。その本質は、「不確実性が高く、正解のない状況において、人と人が本音で繋がり、対話と実験(検査と適応)を繰り返しながら、共に価値を創り出していくための行動規範」です。

1日目のコミュニティの歴史から、2日目のリアルな苦悩、組織論、身体を動かしたワークショップまで、一見バラバラに見えるセッションの根底には、すべてこの「行動規範」がありました。

このイベント全体を通じて見えてきた、アジャイルの本質を体現するために現場で実践すべき行動規範をまとめます。

「完璧さ」を手放し、不確実性を可視化する

アジャイルにおける「検査と適応」の前提は、すべてがオープンであるという「透明性」です。しかし、多くの現場では「失敗したくない」「完璧でありたい」という心理が働き、これが透明性を曇らせます。

2日目に語られた「不確実性をマネジメント層へ素直に報告する」ことや、1日目の「優れたエンジニアがライブコーディングで困惑する姿を晒すことで生まれた圧倒的な心理的安全性」のように、あえて完璧さを手放すことで、不確実性が見えるようになることもあります。

関係性の壁を越え、本音の対話を創り出す

アジャイルソフトウェア開発宣言の第一の価値は「プロセスやツールよりも個人との対話」です。しかし、2日目のワークショップで体感したように、私たちは「関係性を守るための遠慮」という名のもとに、本音の対話から逃げてしまいがちです。

積極的な自己紹介で相手との会話のハードルを下げること、苦手な人に対して「遠くから観察し、日常の挨拶から変えていく」ことのように、関係性の壁を超え、本音の対話をしようとする姿勢が重要です。

チームで方法を改良する

スクラムチームが目指すべきは、誰か一人のヒーローに依存しない「自己組織化」です。属人化された熱量や能力だけに頼るチームは、その人がいなくなった瞬間に崩壊してしまいます。 本レポートで紹介した、チームが「目指す姿」をバックキャスティングで明文化した事例や、学生プロジェクトにおける「目的」の再定義、そして「判断のアルゴリズム化」といった試みは、まさに人に依存しない共通の目的と仕組みを作るためのアプローチです。

これらの例からも分かる通り、環境の変化に強いしなやかな組織を生み出すには、一般的なフレームワークをそのまま当てはめるのではなく、現場の課題に合った形へと変換していく姿勢が重要です。

最後に

スクラムフェス金沢2026で得た最大の収穫は、フレームワークの裏側にある「人間へのアプローチと行動の変革」の重要性を再認識したことです。

どれだけ綺麗にスプリントを回していても、そこに「完璧さを手放す勇気」「遠慮を越える対話」「人に依存しない仕組み」がなければ、それは形骸化したスクラムに過ぎません。

私たちの組織がどのようなフェーズにあろうとも、これらの行動規範を普段の活動に落とし込み、実験を続けていくこと。それこそが、真のアジャイルを体現する方法だと考えています。

【スクラムフェス金沢2026 1日目】完璧ではない姿からアジャイルを考える

こんにちは、株式会社ログラスの笹川尋翔です。弊社では、経営管理SaaS「Loglass」を展開しており、日頃からプロダクト開発においてアジャイルやスクラムを取り入れた開発を行っています。その一環として、先日開催されたスクラムイベント「スクラムフェス金沢2026」に参加してきました!

左側は私、右側は今回のイベントで登壇された大石さん
大学の同じ課外活動グループのメンバーでした

スクラムフェス金沢は2024年から石川県で開催されているイベントです。2026年のスクラムフェス金沢も、全国から熱い実践者たちが集まり、会場は熱気に包まれていました。本記事では、現地で得たアジャイルやスクラムに関する知見や、私たちが「これから現場でどう活かすか」という学びをレポートとしてお届けします。

 

地方で技術コミュニティイベントを続ける -これまでに見えてきたこと・これから-

1日目のキーノートスピーカーは、北陸のエンジニアコミュニティ「BuriKaigi」でお馴染みの加藤さん、鈴木さんによるキーノートです。地方でコミュニティを継続し、盛り上げていくためのリアルな知見と、コミュニティがもたらす熱量についてお話しいただきました。

「目的」を作り、外から人を呼び込む

加藤さんはこれまで様々な技術イベントを企画されてきたそうですが、その中でも「BuriKaigi」は大きな成功を収めたイベントだったと言います。

 

当初は営業や採用、外注先開拓などを目的に勉強会をスタートしたものの、SNSなどの普及によってプレイヤーが可視化されるにつれ、「地方にはエンジニアがほとんどいない」という厳しい現実を突きつけられたそうです。

 

そこで発想を転換し、「地方で開催する目的を自分たちで作ればいい」と考えました。折しも北陸新幹線の開通という大きな追い風もあり、「そうだ、北陸にはブリがあるじゃないか!」という驚くべき発想から「BuriKaigi」が発足しました。まさに「ブリでエンジニアを釣る」という戦略が形になった瞬間でした。

 

その後、JAWS-UG北陸新幹線や、300人以上を集めた「JAWS FESTA 2025 in 金沢」などへ展開していきますが、面白いことにJAWS FESTA 2025の北陸三県からの参加者は全体の約10%ほどだったそうです。地方開催でありながら「外から人を呼び込む」ことに成功しているのが、このコミュニティの強みだと感じました。

 

また、2025年から2026年にかけて、BuriKaigiの参加者数が1年で約100人も増加したとのこと。加藤さんはこの背景として、

  • SNSやイベント検索サービスによる発見機会の増加
  • リモートワーク中心の生活による、オンライン活動での孤独感の増加

という仮説を立てられていました。今後は、地方と東京のエンジニアが交わり、互いにエンパワーメントしていくために「技術コミュニティの境界」を超え、より多様な人々が集まる場を作っていきたいという展望が印象的でした。

なぜ私たちは「わざわざ地方のイベント」に惹かれるのか?

加藤さんのお話の中で「JAWS FESTA 2025の参加者のうち、地元の方は約10%だった」というデータは非常に衝撃的でした。地方開催でありながら、9割近くが外(東京など)から来ている。これはものすごい逆転現象です。

東京にいると、良くも悪くも技術イベントが日常の延長線上にあり、情報が溢れています。しかし、今回のスクラムフェス金沢やBuriKaigiのように「わざわざブリを食べに行く」「イベントに参加するついでに金沢観光をする」という明確な旅の目的があることで、参加者のコミットメントや熱量が一段上がっているのを感じます。

加藤さんが仰っていた「リモートワークによる孤独感の増加」という仮説も面白いです。オンラインで効率的に開発が進む時代だからこそ、私たちは「わざわざ遠出をしてでも、同じ熱量を持った仲間とリアルに泥臭く語り合いたい」という、一種の熱量に対する飢餓の気持ちを抱えているのかもしれません。地方コミュニティが持つ引力は、これからの時代のエンジニアの生き方に大きなヒントをくれている気がします。

プログラミングを「遊び」に変え、心理的安全性を生み出す

続いて登壇された鈴木さんは、技術コミュニティでの活動をきっかけにMicrosoft MVP Awardを受賞された経歴を持ちます。C#に深く傾倒し、MVPを受賞し、先輩と意気投合してBuriKaigiへと繋がっていったそうです。

鈴木さんのお話の中で特に興味深かったのが、BuriKaigiの名物企画でもある「ドキドキLive Coding」の裏側です。 これは、その場で出題されたアルゴリズム問題に対して、画面をシェアしながら即興でコーディングする競技。ですが鈴木さん曰く、「実質的には、回答者が問題を解けずに困っている様子を周囲が楽しむような、遊び心のある企画です」とのこと。

この企画には、コミュニティ運営における重要な気付きが含まれていました。

  1. 登壇者の気持ちが「C#面白い」から「プログラミングそのものが面白い」へと変化したことで、より多くの聴衆に受け入れられるようになった。
  2. ライブコーディングで「優れたエンジニアでも問題を解けない姿」をあえて晒すことで、参加者全体の心理的安全性・親近感が爆発的に高まった。

プログラミングを仕事や勉強の枠から「遊び」に変えていくこと。それこそが、自然と人が集まり、コミュニティが活性化する秘訣なのだと深く納得させられました。

セッションの内容を基に著者が作成

「完璧ではない姿」がもたらす、本当の心理的安全性

アジャイルやスクラムの文脈において「心理的安全性」という言葉は毎日のように使われますが、鈴木さんのお話にあった「優れたエンジニアでも解けない姿をあえて晒すことで、圧倒的な心理的安全性が生まれた」というエピソードには、ハッとさせられました。

現場における心理的安全性とは、単なる「人に優しい環境」ではなく、「自分の弱みや分からないことをオープンにできる環境」であるはずです。

チーム開発、例えばモブプログラミングなどの現場でも、シニアエンジニアやスクラムマスターが「完璧な姿」だけを見せようとすると、ジュニアメンバーは心理的な壁を感じてしまいます。あえて「自分もここが分からない」「一緒に悩もう」という姿を見せ、プログラミングを一種の遊びに変えていくこと。これこそが、チームの良い雰囲気を作り、挑戦を加速させる鍵なのだと感じました。

スポンサーセッション

続いては、スポンサー企業様による共同セッションです。社内サービスの開発現場における、生々しくも再現性の高いスクラムの実践知が共有されました。

成功の鍵は「理想のチーム像」を最初に描くこと

このプロジェクトが成功した大きな要因として、開発の初期段階で「チームの理想像」を徹底的に議論したことが挙げられていました。彼らが定義した理想のチームとは、以下のようなものです。

  • 心理的安全性が高い
  • 情報がオープンである
  • 単一のチームで意思決定ができる
  • 役割や所属の間に壁がない

「腹の探り合いをやめ、全員が本音で話せるチームを作る」という目的のために、インセプションデッキを活用したり、スクラムマスターやエンジニアが開発の「How(どう作るか)」だけでなく「Why(なぜ作るか)」の議論にまで深く入り込んだりしたそうです。

AI時代の新たな課題と「対面」の価値

さらに、直近のリアルな課題として「AIによって下流工程(コーディングなど)が高速化した結果、上流工程の設計がリードタイムに与える影響が相対的に大きくなってきた」という、現代ならではの知見も語られました。

また、「対面での密な議論は、リモートワーク派のメンバーから反対されないか?」という問いに対しては、「スクラムイベントがある日は出社日として設定している」とのこと。単なるルールの押し付けではなく、対面で議論することの圧倒的な面白さや、そのスピード感という「価値」を実際に肌で感じてもらい、納得してもらうプロセスを大切にしているというお話が非常に刺さりました。

セッションの内容を基に著者が作成

下流の高速化がもたらす、真のアジャイルの必要性

セッションの中で最もエンジニアとして唸らされたのが、「AIによって下流工程が高速化した結果、上流工程がリードタイムに与える影響が増加した」という指摘です。

GitHub CopilotをはじめとするAIツールの普及により、コードを書く(How)スピードは劇的に向上しました。しかし、だからこそ「そもそも何を、なぜ作るのか(Why)」という上流の設計が、プロジェクト全体の新たなボトルネックとして顕在化してきています。

彼らのチームが、インセプションデッキを用いてエンジニアやスクラムマスターが「Whyの議論」に深く入り込んだり、数時間にわたるスクラムイベントを行ったりした理由は、まさにここにあると感じました。AI時代におけるスクラムの本質とは、下流の効率化ではなく、「上流の不確実性をチーム全員の対話でいかに削ぎ落とせるか」にあるのだと実感させられました。

1日目を終えて

スクラムフェス金沢2026の1日目は、コミュニティの熱い歴史から、大企業の最先端の実践事例まで、多様な学びを得ることができました。

共通して感じたのは、手法としてのスクラムにとどまらず、「いかに人と人の壁をなくし、遊び心を持って本音で対話できるか」がプロダクトやコミュニティを前進させる原動力になるということです。ネット上のドキュメントを読むだけでは決して得られない、こうした「現場の実践者たちの情熱」に直接触れられたことが、今回現地に足を運んだ最大の価値だと感じています。

さて、スクラムフェス金沢2026はこれだけでは終わりません。2日目もさらに濃密なセッションや、現地ならではのワークショップが目白押しでした。

次回の記事では、2日目の様子とともに、1日目で得た心理的安全性やAI時代の上流工程の戦い方というヒントを、「プロダクトの開発現場でどのように活用できるのか?」という疑問に踏み込んでお届けします。

後編のレポートもどうぞお楽しみに!





【協賛レポート】SRENEXT2026 当日の様子をご紹介!

こんにちは。ログラスProductHRの永井です。
この記事は2026年7月10-11日に開催された「SRENEXT2026」の協賛レポートです。

ログラスは今回、PLATINUMスポンサーとして協賛させていただき、2名のセッション登壇およびブース出展を実施しました。

セッション① mekka登壇:「ちゃんとやっている」は独りよがりだった ― 不安に寄り添うインシデント対応へ

MTTRは改善していたのに、なぜ現場の不安は消えなかったのか?
「ちゃんとやっている」だけでは足りなかったインシデント対応の気づきを、「対話の重要性」に焦点を当ててまとめたセッションでした。

セッション後のアンケートでは、嬉しい感想を多くいただきました。

  • 「対話」について、ものすごく納得感のある素晴らしいお話でした。
  • 不和と暗黙知をうまく言語化して伝えてくださり、かつ実践のエピソードからも大事な学びをたくさん得られたと感じます。
  • SREで大事なことがとてもわかりやすかったです。

SNSでも多くの方からのリアクションありがとうございます。

登壇資料をぜひご覧ください。

セッション② 勝丸 登壇:依頼文化をやめる日―EM視点で語るPlatformEngineeringとInclusiveSRE

「依頼文化」に依存しない開発体制をどう作るか?
Platform EngineeringとEKS導入によって、直列だったインフラ対応を変えていったリアルな意思決定プロセスを発表しました。

セッション後のアンケートでは、ありがたい感想をいただきました。

  • EM 視点なのは新鮮だったし、自分の置かれている状況とも被っているので参考になった

  • 経営への視点など、エンジニア観点から広げることの大切さを感じました。

  • 開発組織を次のステージに上げるために必要なものがわかった気がします

SNSでもリアクションいただき、ありがとうございました!

登壇資料はこちらです。ぜひご覧ください。

「ログラスのEKS導入の背景とこれから」についての紹介

今回ブースでは、ログラスがEKSを導入した背景と、3ヵ年ロードマップのボードをご用意しました。

「うちの会社も同じ課題あります」と共感してくださった方や、「これからEKS導入考えてたんで参考になります」と言ってくださる方もおり、ログラスの現在地やこれからを伝えるきっかけになっていれば幸いです。

「SREとしてやりたいこと」に関するアンケートを実施

さらにブース企画として「SREとして"いつかやりたい"リストに入っていること、なんですか?」というお題で参加者の皆さんにアンケートを実施しました。

回答は「AI・AIエージェントの活用」や、徹底的な自動化によるトイルの撲滅、そしてSLI/SLOやオブザーバビリティの強化を通じて、運用を自律化させつつ「開発しやすい環境」とレジリエンスを高めることに集中していた印象でした。

アンケートに参加してくださった皆さん、ありがとうございました!

ログラスのProduct Team Valueをモチーフにしたノベルティ

今回ノベルティはログラスのProduct Team Valueである「Update Normal」を印字したバスソルト・クリーナー・キーホルダーをご用意しました。

Getした方はぜひ活用いただけると嬉しいです!

まとめ

ログラスメンバーのセッションや、ブースにたくさんの方にお越しいただき、皆さんの熱量の高さを感じた2日間でした!

ログラスでも引き続きSREにまつわる学びや取り組みの発信を通してコミュニティへの還元をしていきたいと思います。

運営スタッフ・参加者・登壇者・協賛企業の皆さま、素晴らしいイベントをありがとうございました!

ログラスではSREを募集しています!

ログラスのSRE記事の紹介

登壇お疲れさまでした!