スクラムフェス三河2024に登壇&現地参加しました!

こんにちは、ログラスのエンジニアの上田(@ueda1023)です。

今回は、9月13日・14日の2日間にわたって開催された、スクラムフェス三河2024年に登壇&現地参加したので、レポートを書きます。

経歴が元々デザイナーでデザインイベントによく登壇や参加をしていたのですが(今後もデザインイベントは参加したい!)、スクラムフェスやRSGTなど、スクラムアジャイル関連のイベントは初参加&初登壇でした。

一緒に現地参加したログラスQAの大平(@oo4ra)にオンボーディングしていただき、コミュニティに関わるたくさんの方々と交流やディスカッションをさせていただき、スクラムアジャイルとじっくり向き合う非常に有意義な時間を過ごすことができました。楽しかった!

スクラムフェス三河とは?

www.scrumfestmikawa.org

スクラムフェス三河とは、アジャイルコミュニティのイベントです。

エンジニア、デザイナー、QA、スクラムマスター、プロダクトオーナーなど、ロールに関係なくプロダクト開発に関わるすべての人々が交流し、学び合い、楽しむことをコンセプトに運営されています。

スクラムフェスは全国各地で開催されていますが、その中でも三河は製造業におけるプラクティスの聖地になっています。

実際に参加してみて、日本を代表する製造業界の会社で活躍されている方がたくさん参加されていたので、インターネット業界やスタートアップで働いているとほとんど接点のない方々と交流ができ、異文化交流のような感覚で非常に新鮮で刺激的でした。

余談ですが、愛知県は製造品出荷額で圧倒的にトップだそうです。イメージ通りではあるものの、こうやってグラフで見るとすごい!(しかも45年間ずっと1位らしい)

引用元:https://aichibrandleague.com/special/01.php

QAはコストセンターじゃないもん!QAの枠から飛び出し顧客価値提供にコミットした奮闘物語

confengine.com

今回は「QAはコストセンターじゃないもん!QAの枠から飛び出し顧客価値提供にコミットした奮闘物語」といったテーマで登壇しました。

当初はログラスで一緒に働いている1人目QAのコタツ@qa_kotatsu)とプロダクトマネージャーの宮本の共同登壇の予定だったのですが、2人とも諸事情で参加できなくなってしまい同じチームで働いていた私が代打で登壇&現地参加することになりました。スクラムフェスには一度は行ってみたいと思っていたので、良い機会をいただき感謝しています。

登壇の内容としては、1人目QAのコタツが当時の開発チームの状況を鑑みて、PdMを補佐する役割のサブPdMに名乗りをあげ、ドメイン理解の活動や担当領域の体験設計の取り組みを通して顧客価値を生み出した、物語形式の赤裸々な体験談になっています。

QAのキャリアやスキルアップにこだわるのではなく、顧客価値を生み出すためにQAの枠を飛び出し縦横無尽にバリューを発揮する姿勢に見習う点が多くあるなと思い、そういったポイントをお伝えできるようお話しさせていただきました。

登壇動画が後日YouTubeに公開されるとのことなので、公開されたらSNSでシェアする予定です。ご興味がある方はぜひXのアカウントをフォローしてお待ちください!

セッションの感想

登壇の順番が2日間のイベントの一番最後だったこともあり、登壇準備などですべてのセッションには参加できなかったのですが、印象に残ったセッションをいくつか紹介します。

製造業でのアジャイル、悩みと光

speakerdeck.com

オープニングセッションは、UMLモデリングツール astah*(アスター)の開発者として知られ、アジャイル開発のエバンジェリストとしても著名な平鍋さんのセッションで、製造業におけるアジャイル導入の難しさと可能性についてお話しいただきました。

製造業は複雑なサプライチェーンや部門間の連携が必要で、Webやアプリなどのソフトウェア開発と比べるとアジャイル導入は難しいと言えると思います。

一方で、現代は社会のニーズや環境の変化が激しく、unknown な市場や課題に対してアジリティ高くプロダクトを開発することが求められることは自動車のような大規模なプロダクトも例外ではないはずなので、どうすれば製造業にアジャイルを導入できるかの具体的な知見を共有いただきました。

印象的だったのは、アジャイル開発はスクラムなどのフレームワークを形式的に導入するのではなく、上ロジ(プロダクトのビジョンや価値)と下ロジ(スクラムのプラクティス)の観点を持った上で、戦略的・自然発生的に自分たちの文脈に沿った形を作った方が良いという話。

プロダクトオーナーを取り巻く上ロジと下ロジ

自動車の場合は最終製品市場とチームの距離が非常に遠く、上ロジが大変でプロダクトオーナーは多くの部門との調整が必要になるので、アジャイルスクラムをオリャッと形式的に導入するのは難しいとのこと。

そのような問題を解決するため、自動車のプロダクト開発を「フェーズ」「産業構造」「内外」「ドメイン」といった分解軸を用いていくつかの要素に分解した上で、各構成要素に対する「アジャイル適正」のフィルタリングを通して効果的な範囲を見極め、その点に重点的に導入するといったアプローチが有効になるとのことで、非常に興味深かったです。

自動車産業における上ロジと下ロジ

自動車産業特性の解説

ドメインの分解軸

アジャイル適正の解説

分解軸を用いてドメインの構成要素を分解し、アジャイル適正によってアジャイル開発の導入ターゲットをフィルタリングする一例

異なる業界の話ではあるので日々の開発に今すぐ何か活かせるわけではないかなと思います。

ただ、実践するハードルが高いからこそ、アジャイルスクラムの価値を科学して導入を試行錯誤する取り組みに非常にパワーや勇気をいただいたので、このセッションだけでも三河に足を運んだ価値がありました。

チームビルディングは”感性”で向き合おう

speakerdeck.com

こちらは製造業とは関係なく、サイバーエージェントでエンジニアリングマネージャーをされている吉田さんによる、チームビルディングにおける「感性」の重要性についてのセッションでした。

まず前提として、「現状の課題を正確に知るのは難しい」という話があります。

例えばチームの現状を把握しようとしても、言語化や数値化が難しかったり、思い込みによって見誤ってしまうことはよくあると思います。特に、目に見える情報は氷山の一角に過ぎず、実際にチームが抱えている課題や違和感は、その下に隠れていることが多いとのこと。

そのため、感性を働かせて、見えない部分まで洞察する力の重要性を強調されていました。

具体的には、

  • 感性を働かせてチームを観察し、違和感や課題を感じ取る
  • 直感だけで何かを決めつけて判断せず、対話やディスカッションを通じてファクトを確認する

といったアプローチで、感性を土台にしつつ、事実を裏付けて正確にチームの状況を把握する方法が紹介されました。

シンプルにも思えるのですが、とても実践的で有効ではないかと思いました。

課題を明らかにするのは意外と難しく、なんとなく違和感を持った時点でつい何か結論を決めつけがちになることがあるので、そういったときは本当に課題なのか疑ってかかり、対話やディスカッションの機会を設けてみようと思います。

その他にも面白そうなセッションが沢山あったので、気になる方は X で #scrummikawa と検索!

スクラム初学者こそ、スクラムフェスに

正直なところ、普段の私は自社のドメイン知識や技術的な探究を優先しがちで、アジャイルスクラムについて思いを馳せる機会を多くつくることはできていませんでした。

だからこそ、「スクラムフェスやRSGTに参加するなら、まずはアジャイルスクラムについてしっかり理解してからじゃないと…」と少し構えていた部分もありました。

しかし、実際にスクラムフェスに参加してみると、アジャイルスクラムが大好きな人たちに囲まれながら、2日間アジャイル漬けの時間を過ごすことができ、学びの多い経験になりました。しかも、イベント全体が初心者にもウェルカムな雰囲気に満ちていて、ただセッションを聞くだけでなく、コミュニティの中に自然と混ざり込み、リアルなトークを楽しむことができました。現地で仲良くしていただいた方々に改めて感謝です。

スクラム初学者こそ、スクラムフェスに!最後まで読んでいただきありがとうございました!